(原作:大今良時、脚本:吉田玲子、著:川崎美羽)
ガキ大将の石田将也は、耳の聞こえない転校生・西宮硝子をいじめていた。しかし、ある日を境に自分がいじめの対象に変わってしまう。心を閉ざしていた将也は、高校生になって硝子の元を訪れる。
(今、言われただろ。お前は笑っちゃダメだ!俺は俺が嫌いだ。昔の過ちを許してもらって、自分にとって都合のいい結果をもらったら、それでいいってか?そんなわけがない!)
硝子はベッドの上で、ゴロリゴロリと右に左にと回転している。
でもーー小学校が変わっても、友達が変わっても、からかわれることがなくなることはなかった。
それで分かったことがある。
怒っても泣いても、からかわれることはなくならないということ。
だから、笑うことにした。
笑っていれば、相手が比較的すぐにやめてくれるから。
それから、笑うことが私の武器になった。中学生になって、からかわれることはようやく収まった。それは、普通の学校に行かなくなったから。
それでも笑うことはなくならなかった。まるで、顔に張り付いてしまったかのように。
笑っていれば、結弦もばあちゃんもお母さんも心配しないから。
笑ってさえいれば、問題ないと思っていた。
表に出さなくても、本人は嫌だと思っているかもしれない。
言葉の意味
- 逡巡…ぐずぐずすること。
- 欄干…手すり。
- わななく…体が小刻みに震える。
- 踵を返す…引き返す。
- たも…たもあみ。魚をすくう網。
- オーナメント…飾り。
- 嗜虐(しぎゃく)…残虐なことを好むこと。
- 溜飲を下げる…不平不満などがなくなって胸がすっとする。
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